和装に学ぶどんな深浅の股上でも男はパンツを腰で穿く
更衣室でめぼしいパンツに着替えて、店員に裾丈を合わせてもらう。
パンツを買いに行ったら、必ずやる行為です。
「どれくらいの長さにするか?」と、訊ねられてもいまいちピンとこない。
言われるがまま、ハーフクッションでお願いしたものの、ある想いが頭を過ります。
「もし、思ったより短かったらどうしよう…」
長ければまた詰めれば良いのですが、短かったら取り返しがつきません。
防衛本能で、無意識に何時もよりもベルト位置を少し上げてしまう。
そして、
思っていたより少し裾丈が長めなワンクッションのパンツが、出来上がってしまいました。
パンツ採寸あるあるです。
1cm単位でパンツの裾丈を測っても、ベルト位置がズレていたら本末転倒。
正しいウエストラインを把握して、自分サイズのパンツを手に入れるために…
FILE027のテーマは、
女高男低のウエストライン
…です。
裾の長さを気にする人はいても、ベルト位置を意識している人はあまりいません。
何気に穿いているだけ。
今回は、パンツのベルト位置の話です。
男女ではトップスとボトムスの境界線、すなわちウエストの位置が異なります。
解りやすく、和服の例で説明します。
夏になると、花火大会等で浴衣を着た若いカップルを見掛ける機会も増えますが…
男女で、帯の位置が違いませんか?
女子は高く、男子は低い。
これが、逆だった場合を考えてみてください。
…
違和感ないですか?
女子の帯位置が低ければ品が悪く見えますし、男子の帯位置が高ければ…
「子どもか!!」
と、なってしまいます。
見た目上の上半身と下半身の境目が、ヘソより上か?下か?
女子でも、ローライズジーンズ等で腰穿きをする事もありますが、これはあくまでも例外です。
基本のウエストラインは、女子は腰の一番窪んだところで、男子は骨盤の上のところ。
なので、
メンズのパンツは、レディースに比べて股上が浅い作りになっています。
華奢な男の子が、『WERE』でレディースのスキニーパンツを穿いていたりしますが…
例えそれがローライズだったとしても、ヒップ回りや腿回り、裾回りのサイジングが男女で微妙に違うわけです。
男女で、骨格や肉付きが異なるから。
ストレッチが効いているので、幾らかは誤魔化せますが…
彼等って、『フェミニン男子』っていうんですか?
もし、
今、日本が戦争に巻き込まれて自衛官だけでは足らずにこの子達まで戦場に駆り出される事があったら…
ゾッとします。
日本も終わったな…と。
話を戻します。
フツーのスキニーパンツは、一般的に股上が浅いのでウエストサイズさえ合っていれば、ウエストラインは間違えようがありません。
ストレートパンツは多少股上に余裕がありますし、スキニーパンツのようにわたり幅や裾幅が短くても股上は深い、サルエルパンツが存在します。
股上が深いといっても、昔のM.C.ハマーが穿いていた後ろから見るとウンコを漏らしたようなヒップラインがぶかぶかの股上の深さではありません。
今どきは、サルエル気味の通称『ちょいサル』。
女子と違って男子は、股上がスキニーのように浅かろうがサルエルのように深かろうがウエストラインは定位置なのです。
股上に遊びがあるパンツをよく穿くメタボなオッサンで…
ベルトの上に腹の脂肪が乗っかるのを防いでいるのだと思いますが、ベルト位置を上に上げたウエストラインの高いオッサンが友人にいます。
こんな、カンジです。
《おそ松くんより『デカパン』》
上に上げたからといって、脚長効果があるわけでもなく…
バランスが、おかしいだけです。
太め男子に多いスタイルです。
もう一度、言います。
『パンツは、腰で穿く』
が、セオリーです。
腰で穿く、といっても…
若者を中心に流行った、インナーまで見せる『腰パン』とはウエストラインが違うので、混同しないでください。
『腰パン』は、単に大きいサイズを穿いているだけです。
そんな、だらしがない格好をしなくてもバックポケットを従来より下にずらしているパンツがあります。
ウエストラインは、他のパンツと同じです。
つまり、『なんちゃって腰パン』です。
若年層が穿く『腰パン』のようなルーズなシルエットではなくて、細身のシャープなシルエットが一線を画します。
オトナが、穿くパンツです。