抜け感演出の核となる三つ首竜を召喚せよ
25歳の若さで亡くなった、職場の先輩がいました。
葬儀の日、参列者の中に先輩と仲が良かった友人がいたのですが…
喪服に素足の出で立ちでした。
読経の中、裸足で正座をしている姿が可笑しくて可笑しくて笑いを堪えるのに必死でした。
その友人は、物心がついてから靴下を履いた事が一度しかありません。
中学の卒業式の日に担任が、「頼むから履いてくれ」と靴下を持って来たので、やむを得ず履いたといいます。
石田純一が、『素足に革靴』のスタイルを確立させる前の話です。
春になり、薄着の季節がやって来ました。
アウターよ、サヨナラ。
今まで、防寒のために覆っていた肌を露出する機会も増えてきます。
露出し過ぎて、イタい思いをせぬ様…
FILE024のテーマは、
見せるものと見せてはならぬもの
…です。
ファッション用語で、よく耳にする『抜け感』という言葉。
曖昧過ぎて、何が抜けてて何が抜けていないのか?
そんな、貴方へ。
『抜け感』は、首・手首・足首の3つの首の見せ方次第で決まると言っても過言ではありません。
最強のドラゴン、キングギドラをインストールして抜けれるオッサンに進化するのが、今回のミッションです。
ぶっちゃけて言うと、素肌を『チラ見せ』すれば良いのです。
が、
ちょっとした注意点があります。
それでは、個別に解説していきます。
■首
トップスで首元のはだけ具合を調節するのに適しているのは、前身頃をボタンで留めるタイプのシャツになります。
深い切り込みのVネックシャツも良い塩梅で素肌が見えるのですが、世間の評価が最近は芳しくないので今回は外します。
ドレスシャツ、ポロシャツ、ヘンリーネック等のシャツが該当しますが…
カジュアルチックな装いの中で抜いても、それは『抜け感』にはならないので、キチンとした佇まいの中で抜くならドレスシャツが最有力。
シャツによって違いますが、ボタンを2つ3つ外すくらいが『チラ見せ』のベストで、それ以上開けても『モロ見せ』になってしまい、かえって逆効果です。
下には何も着ないでシャツだけ羽織るのが良いのですが、脇汗染み対策としてアンダーシャツを着る場合、開けた胸元からアンダーシャツを絶対に見せない事。
ドレスシャツの役割が、元々下着だったために下着の下に更に下着を着るという奇妙な構図になってしまいます。
ただのオッサンがクールビズで、ドレスシャツの下からクルーネックの白シャツを覗かせている場面に遭遇します。
ダサ過ぎです。
■手首
これが、一番簡単です。
長袖の袖を2回捲るだけ。
良いですか?
2回ですよ。
この八分袖が、黄金比率です。
鯉口シャツのように単に袖丈の短いシャツ(鯉口シャツは七分袖ですが…)では、抜けません。
あえて、捲るのです。
簡単な手法ですが、使えるシーズンが春先と秋口に限られます。
寒さに耐えられるのなら、トレンチコートの袖を捲っても絵になります。
■足首
クロッブド丈のパンツか?レギュラー丈のパンツをロールアップして『チラ見せ』しますが、どれくらいの隙を作るか?が肝になってきます。
ベストは、アンクル丈。
くるぶしが、見える丈です。
それ以上短くなると、スネ毛が見えてしまいます。
オッサンのファッション誌で、ハイブランドのジャケット&ハーフパンツのセットアップを見て、真似しても間違いなく引かれます。
誰もオッサンのスネ毛を見たいとは、思いません。
その前に、あの格好の良さが理解出来ませんが…
まさか、七五三の5歳児以外が着るとは!!ヽ(゚д゚ヽ)(ノ゚д゚)ノ!!
ハーフパンツなんてカッコつけてますが、それバミューダでしょ?
売っているって事は、一定数の支持はあるんでしょうけど…
貴方のスネ毛が、濃いのなら処理してください。
スネ毛を見せては、ならぬのです。
と、同時に…
肌が白いなら、日サロでも日光浴でも良いので多少焼きましょう。
カッコつきません。
女子ならともかく、蒼白い足首を晒しているオッサンって健康的じゃないでしょ?
‘しげる’は、やり過ぎですけど…
首元と同様、靴下見えもNGです。
秋冬物のジャケットとのセットアップで、クロッブドパンツの裾から靴下が見えているのを目撃したのですが、とてもイケているとは思えませんでした。
個人的には。
寒い時期にわざわざクロッブドパンツを穿かなくても良いんじゃないかと…
『抜け感』の効果を最大限に発揮するなら、カジュアルな要素の高いジーンズやチノパンよりもセンタープレスが入ったキレイ目のスラックスの方が抜けます。
ただ…
男子が、短めのパンツを穿くことを好意的に受け取らない層が若干数ながら、居ることは居ます。
職種にもよりますが、ビジネスシーンのスーツ姿でやっちゃうと貴方の評価が下がる恐れがあるので、ON時はやらない方が賢明です。
3つ首に共通しているのが、アクセサリーに対応しているところです。
ネックレス、ブレスレット、アンクレット。
特にアンクレットは、くるぶしが外から見えないとやる意味がないので、主張しないアンクレットならクロッブドパンツを穿いた時には、やってみたらどうですか?
アンクレットを着けているオッサンって、あまり見ないので…
目立ちますよ♪
見せる素肌の表面積の割合が、ミッション成否のカギを握っています。
絶妙なバランスで、『抜け感』を作り出しても3ヶ所全部でやると、それはそれで全体のバランスが狂ってしまいます。
江戸時代の浮世絵師は、絵を摺る際にわざと一色、色を抜いたそうです。
『引き算の美学』です。
あれもこれもと、テンコ盛りにするよりも少し足らないくらいが美しい…
先人達が、そう教えてくれているのかもしれません。