週刊 オサレのツボ

オッサンは読むべき服飾哲学

トレンドに左右されない革靴の温故知新な底力


パンツの裾幅が広ければ丈は長め、パンツの裾幅が狭ければ丈は短め。

 

この流行に捕らわれないパンツに於ける幅と丈のゴールデンルールを理解していて、美しいシルエットを演出していても…

 

トドメの靴で、逆にトドメを刺されている残念な人が後を絶ちません。

 

何故なら、

 

パンツ丈は、買った店の店員が余程のおバカさんでない限り、お任せすると適切な長さを決めてくれる『依存型』であるのに対して、それに合わせる靴は自分で決めなければならない『自立型』の行為だからです。

 

本人のセンスが、問われます。


まぁ、

 

セレクトショップや紳士服量販店で、パンツと一緒に合う靴もショップ店員に選んでもらうのなら話は別ですが…

 


例えば、

 

これからの季節にクールビズで穿くパンツを買いに行って、ついでに革靴も買うと。

 

「じゃあ、ベルトは?」

 

って話になります。

 

基本、身に着ける皮革製品の色は統一します。

 

革靴は、主に黒or茶系の2パターン。

 

「俺、茶のベルト持っていないんだけど…」

 

そこで、ベルトもお買い上げ。

 

すると、

 

「鞄はどうするんだ?」

 

「時計の革ベルトは?」

 

大手のセレクトショップなら、その辺りも取り揃えています。

 

「財布は?」

 

「財布は、良いんだ…ふーん、何で?」


クレジットカードのボーナス一括払いで支払いを済ませると、ショップロゴが入った大きな紙袋を3つ持たされて、はいお帰り。

 

担当店員は、玄関口で貴方が見えなくなるまで見送ってくれます。


疲れたので、お茶でも飲もうと駅前のスタバに入ると、荷物が幅を利かせて他の客が通れません。

 

周りから白い目で見られながら、貴方はこう誓うのです。

 

「もう、2度とセットでは買わない」

 

と。

何の噺してんだ!って話ですけど…

 


気を取り直して、と。

 

革靴とパンツの相性は、ご存知ですか?

 

FILE029のテーマは、

裸足のスリッポンには、オッサンの意地が詰まっている

…です。

 


ドレスシューズ…

 

俗に革靴と呼ばれている靴には、時間を超越する不思議な特性があります。

 

ファッションアイテムに限らず、車・電化製品・建造物etc.世のデザインされているモノの多くが、時間の経過と共に古臭くなっていきます。

 

イノベーションって事です。

 

ところが、革靴にはそれが当てはまりません。

 

元からダサいデザインの革靴は、別ですが…

 

今までに無いデザインの靴が出たところで、従来のデザインの靴が古めかしく感じる事がないのです。

 

これまでも。

 

そして、これからも。

 


古いも新しいもないので、昔の革靴を現在のスーツに合わせても違和感はありませんし、逆もまた然り。

 

革靴は、クラシックでありながらモダンだという相反する2つの要素を兼ね備えた、特殊なアイテムなのです。


時間軸は問わない代わりに、相手は選びます。

 

つまり、

 

トレンドでダサいという事は有り得ないのですが、マッチングでダサいという事は有り得るという事です。

 

最近は、カジュアルな装いにも革靴を合わせたりしますが…


想像してください。

 

農家のおじいちゃんが、グレーの年代物スウェットパンツを穿き、靴流通センターに売っているような黒の合皮製ヴァンプを履いて、散歩している姿を…

 

何か…違うでしょ?


この農家のおじいちゃんの例は大げさだとしても、カジュアルアップをやらかすと大怪我します。

 

スポーツMIXとドレスシューズは、同じ空間に共存出来ません。

 

水と油です。

 

幾ら流行っているとはいえ、革靴に合わせるパンツには細心の注意を払ってください。

 

 

 

革靴を履く時は、靴下を履くのが一般的です。

 

上記のおじいちゃんも、例に漏れず履いています。

 

ところが、

 

『ハズし』で革靴を履く場合、オシャレ上手に見せたいのなら靴下を履かないことです。

 

…とか、言いながら。

 

履かないっていうのは、実は嘘で…

 

あくまでも、裸足に見えるってだけなので、靴下は履いてください。

 

ヘビロテすると、問答無用で靴が臭くなります。

 

プライベート用の高い靴なのに…

 

カバーソックスという元々はレディースだった靴下が、今はメンズでも売っています。

 

この靴下は、履いていることが端からは分かりません。

 

 

 


革靴に靴下という、スタンダードなスタイルにハズれはありません。

 

しかし、

 

そんな、ありきたりなパターンのオッサンと差別化するには、『素足に革靴』のアイデンティティを確立するのが最短だって話です。

 


革靴と一口に言っても、靴紐が有る靴と靴紐が無い靴があります。

 

難易度から言うと、カチッとした紐付きよりも砕けたスリッポンタイプの方が合わせ易いです。

 

因みに、

 

革靴は茶系よりも黒の方が、フォーマル度数は上がります。

 

ですので、

 

ブラウンのコインローファーとかにした方が、パンツ選びは容易になります。


街中を見渡してみても、実際にスーツ以外でドレスシューズを履いている人の割合は思っているよりも少なく、履いていたとしても結局のところ、ジャケパンスタイルに落ち着いているのが現状です。

 

被るのを嫌うなら…

 

路線変更で、革靴は革靴でもラバーソールでクラークスやレッド・ウィング辺りの『ゴツい系』ワークブーツにした方が一番手っ取り早いのですが…

 

そうすると、細身のパンツとは先ず合いません。


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ジャケットに頼らず、Tシャツやオープンシャツとジーンズに、当たればホームラン外せば空振りする黒の外羽根式プレーントゥを合わせてみたらどうですか?

 

黒のプレーントゥは、意外と盲点。

 

ですが、

 

Iラインを意識せずにやると、間違いなく空振りします。

 

ホームランを打ちたいなら、細身に徹することです。

 

そうしないと、浮いた靴だけ褒められて…

 

何だか虚しくなります。