週刊 オサレのツボ

オッサンは読むべき服飾哲学

メンズアクセサリーの真打ち腕時計の選択基準


身につけている靴、鞄、時計を見て、その人のセンスを判断してしまいます。

 

有名だから良いとか、高価だから良いとか…そんな問題ではありません。

 

全ては、トータルバランスなのです。

 

洋服の青山のWEB価格19,000円のポリエステル100%スーツにオールデンのVチップや大峡製鞄のダレスバッグでは、バランスが悪いわけで…

 


靴→鞄と進んで来たので、今回は時計の話をしようと思います。

 

フォーマルな場では、男性の指輪(結婚指輪は除く)、ピアス、ネックレス、ブレスレット等はNGです。

 

ですが、腕時計だけはOKです。

 

オトコに許された、唯一のアクセサリーなのです。

 


実は…

 

時計という名称なのに時を計る道具ではありません。

 

価格は完全に青天井で上を見たらキリがなく、ジュエリーウォッチじゃなくてもトゥールビヨン・ミニッツリピーター・パーペチュアルカレンダーの3点セットで、軽く億を超えてきます。

 

フェラーリランボルギーニよりも高額です。

 

タワーマンションが、買えます。


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一般庶民の金銭感覚からしたら、正気の沙汰じゃありません。

 

工業製品ではなく工芸品にまで昇華した、左手首に燦然と輝くステータスシンボルなのです。

 

FILE015のテーマは、

時計は時計屋

…です。

 


腕時計ほど、興味がない人とある人の差が如実に表れるアイテムもありません。

 

時計に興味がない人は「あんな重い物は要らない」と言って腕時計を着けもしないし、興味がある人は一般庶民でも100万オーバーの腕時計を普段使いしていたりします。


ただのオッサンは、あまり腕時計を嵌めません。

 

嵌めてもドンキホーテで買ったような中華のクォーツ時計。

 


それなら、フツーのただのオッサンで済むのですが…

 

タチが悪いのが、ただのオッサンに毛が生えた程度の意識高い系のオッサンや若者が嵌めているポール・スミスオロビアンコ等のアパレルブランドが出しているファッション時計。


時計の知識がない情報弱者は、時計雑誌に載っているような名前も聞いた事がない高級ブランド時計は手を出せませんが、有名なアパレルブランドのファッション時計の値頃感には手を出すのです。

 

ブランド名が信用を与えます。

 

IWC/マークⅩⅧ 定価49万円〉

GUCCI/Gタイムレス 定価19万円弱〉

 

共に同じ黒文字盤・デイト表示、3針、自動巻き、SSケース、サファイアクリスタル風防、カーフベルト。

 

その価格差、約2.5倍。

 

更にファッションサイトで、平行物が8万程度にディスカウントされて売られています。

 

そりゃ、聞いた事がないIWCとやらの時計買うくらいなら知ってるグッチの時計買いますわ。

 

仕様は、ほぼ同じだし…

 

しかし!

 

高級ブランド時計は見えないところにコストを掛けているから高く、ファッション時計は見えるところにしかコストを掛けていないから安いわけでして…

 

《時計は、ファッションアイテムだ!》

 

みたいな事言っといて…

 

アパレルブランドの割にはデザインが在り来たりで、それでいてムーブメントが自前でもない。

 

服飾デザインと工業デザインは違います。

 

工業デザインを履き違えて、腕時計を造るとこうなります。

 

更に、この類いの時計はライセンス契約をしている別の企業が販売している例も少なくなく、『安物買いの銭失い』になりかねません。

 

これなら、何も着けない方がマシです。

 


革靴の老舗ファクトリーがその技術を生かして、ベルトや財布等の皮革製品をリリースするのとは、わけが違います。

 

腕時計は絶対、専業ブランドを買うべきです。


オッサンには、歴史に裏打ちされた『SWISS MADE』の本格機械式腕時計しか選択肢がありません。

 

ファッションウォッチとは、格が違います。

 

 

今まで散々、腕時計に散財してきました。

 

クロノグラフ、ダイバーズ、GMT

 

最初は、動かします。

 

興味本位で…

 

でも、暫くするとタイムを計測する事も酸素ボンベの残量を確認する事も時差がある所に行く事もないことに気づきます。

 

それ等の機能は、日常生活で使うシチュエーションが無いのです。

 

確かに2つ目/3つ目のインダイヤル、逆回転防止ベゼル、24時間針…カッコ良いです。

 

時計の顔ですから。

 

でも、使わないなら機能じゃなくて最早デザインです。

 

オーバーホール代が、高くつくだけです。

 

何なら日付も必要ありません。

 

ですので、

 

「やれ、ロレックスだ!オメガだ!ブライトリングだ!」

 

貴方が、ピンと来た腕時計を買えば良いと思います。

 

その買った腕時計を着けていると、いずれそれに喰いついて話をしだす人が現れます。

「良い時計ですね」

と。

 

さて、ココからが問題です。

 

良いですか?

 

決して、その腕時計のウンチクを語らないでください。

 

ブランドヒストリーだとか、搭載キャリパーがcal◯◯だとか…

 

それ、要りません。

 

自慢したいのは、分かります。

 

一般庶民の可処分所得からすると色んな事を我慢しなければ、買えない金額です。

 

その相手が、会社の同僚なのか?仕事の取引先なのか?プライベートの友人なのか?行きつけの飲み屋のママさんなのか?は知りません。

 

が、一つ言える事は、

 

総じて、そんな時計話に興味はありません。

 

それよりも興奮気味に話す貴方の鼻から飛び出た鼻毛の方が気になります。

 

「言うべきか?言わざるべきか?」

 

貴方の腕時計の話を振られたその時は、一言お礼を言って他愛もない話ではぐらかしてください。

 

それだけで、貴方の株が上がります。

 

 

 

※最初は、こんな感じで終わるつもりでした。

 

高級ブランド時計の価格改定が行われて、定価が軒並み大幅に引き上げられたのは少し前の事です。

 

2000年代初頭の価格を知っている者からすれば、買う気が失せる上げ幅です。

 

物によっては、100%くらい上がっています。

 

 

高級腕時計の大幅値上げで、腕時計愛好家から一目置かれる時計は最低ラインで100万円近くします。

 

フェラーリは無理でも、国産のリッターカーなら買えます。

 

それくらいの経済力がある人は、是非ホンモノの機械式腕時計を買ってください。

 

もっと、時計が好きになると思いますよ。

 


そうではない人は、何か策を講じる必要があるので来週まで待って下さい。

 

秘策を伝授します。