週刊 オサレのツボ

オッサンは読むべき服飾哲学

今は優越感でも後々羞恥心に変わる流行の甘い罠


時の流れは残酷なもので…

 

これでも若い時分は、

『新人類』

と、呼ばれていたりしました。

 

元号が平成に変わっ時た頃の話です。

 

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そんな、平成も終わろうとしている今となっては新だか旧だかよく分からない愛しきオッサン達の物語です。

 

FILE008のテーマは、

バブル期の泡にまみれた今は昔

…です。

 


数あるアパレルブランドの中で…

 

服好きだというオッサンにお気に入りのブランドを聞いてみたところ、1980年代に一世を風靡した『MEN'S◯◯』や『◯◯MEN』等のMENの冠名を付けた懐かしのDCブランドの数々を挙げました。

 

時間が完全に止まってます。

 

その頃の自分って、どうだったか覚えていますか?

 

全盛期には、DCブランドが入ったファッションビルに群衆が大挙して押し寄せて、社会現象にまでなりました。

 

確かに青春真っ盛りの小僧にとっては、大人への階段の先にあるような憧れの的でした。

 

 

丁度その頃、同級生がCOMME CA DU MODEを運営するファイブフォックスに就職して最初に自社製品を買わされ、いきなり100万円の借金を背負った…と風の噂で知りました。

 

一方で、野村證券に就職した別の同級生は初年度の冬のボーナスが100万円だった…というのを後に聞いて、

「服は売るものではなく買うものだ」

と、教えられた19の春。

 

時代に翻弄された、両者を分けたものは一体何だったんでしょうか?

 

 

21世紀に入り、MENを謳うのは男性用コスメくらいになり、ドメスティックブランドでは殆ど見かけなくなりました。

 

 

上記のオッサンは、アメカジ好きの意識高い系のオッサンです。

 

スタジャンを30着持っています。

 

クローゼットは、背中に『MEN'S◯◯』と書かれたスタジャンで溢れていることでしょう。

 

ヘタすると30年前のビンテージ物が、発掘出来るかもしれません。

 

オッサン自身がビンテージなので、ハードウェアがスーパーファミコンのままで現在に至ってます。

 

ガラパゴス化した浦島太郎状態です。

 

外部と繋がる端子がありません。

 

流行り廃りが激しいこの業界で、油断していると直ぐに置いていかれます。

 

 


バブル期を知らない若い世代は、ボックス型シルエットを他人事のように笑っていますが…

 

今のトレンドを見渡してもリスキーアイテムが点在します。

 

 

シャツは、パリっと糊の効いたシワ1つないものが良しとされている常識を見事に覆した『シワ加工シャツ』。

 

襟や袖にワイヤーを入れてヨレ具合を調節出来るのですが、シルエットが超タイトなので中年太りのオッサンには先ず似合いません。

 

というか、入りません…

 

ドメスティックのハイブランドでは、3万円を超えてくる高額商品です。

 

前身頃もボタンではなく、フックで留めます。

 

それなら♪と、

 

シワがあれば良いからといって、フツーのシャツを丸めて自前でシワを付けても『シワ加工シャツ』には変身しません。

 

 

 

 

『ダメージ加工』とか『リメイク』を再構築と銘打って、リーバイスの501xxに始まったヴィンテージ感を匂わす様々なアイテムをジーンズを筆頭に各ブランドがリリースしていますが、最近はダメージ具合がエスカレートしている気がします。

 

当然の事ながら加工賃を上乗せされて…

 

それを有り難がるってどうなんでしょう?


当て布もなくパンツに穴を開けられた日には、真冬の寒空の元ではとてもじゃありませんが履けません。

 

寒すぎです。

 

紳士たるもの、『武士は食わねど高楊枝』的な涼しい顔して着こなすのが粋ってものなのでしょうか?


そもそも、履く時につま先が穴に引っ掛かってダメージが更に大きくなるし…

 

ユーズド感を出したいのなら偽りの『◯◯風』ではなく、本物の古着じゃダメですか?安いし。

 


この話を自動車に置き換えてみると…

 

メルセデス・ベンツを見にヤナセへ行ったらノーマルのSLの隣に『AMG仕様』のSLが停まっていて、更に隣に『ヴィンテージ仕様』と書いてあるSLをよく見てみると…

 

バンパー擦ってるわ、シートへたってるわ、ダッシュボード日焼けしてるわ、
…なんてSLを誰も買わないでしょう?

 

しかも、ノーマルのSLよりも300万円割増。

 

 

価値観は、常に移ろい続けます。


服にしかないこの現象、20年後にはきっと笑われているに違いありません。